災害時の水不足が営業活動にも影響

大規模な災害が起きたときや災害後の避難生活で重要なのが水の確保。過去の困窮に陥れるのが水不足。飲料水や炊事はもちろん、トイレ、風呂、洗濯などあらゆる生活シーンで水は欠かせない存在です。阪神淡路大震災や熊本地震など過去の災害でも、飲み水を減らさないため、トイレへ行くのを我慢するために水分摂取量を減らしてしまい、血流の流れが悪くなってしまった人がたくさんいました。

甚大な被害が相次いだ2018年7月の西日本豪雨では、長期的な断水状態となり、多くの人々が断水による不便な暮らしを強いられました。日常生活がままならないのはもちろん、トイレや水道が使用できないためにほとんどの企業や店舗が休業を余儀なくされました。
一方で、飲み水や生活用水の供給源として断水地域を支えたのが井戸。災害をきっかけにその存在が改めて見直され、注目を集めているのです。

病院や老人ホームなどの施設

災害時でも業務を早期に復旧し、安定して飲料水を確保する有力な手段として、地下水を導入する病院や老人ホームなどの施設が増加中。災害時に子どもたちを預かったり、地域住民に利用してもらえるようにと、井戸を設置する保育所や学校が増えています。特に学校や図書館などは、災害時の避難所に指定されているにも関わらず、水が確保できずに困ったという事例もあります。

ペットボトルに入った飲料水は支援物資として手に入りやすいのですが、トイレなどの生活用水は不足しがち。そこで、多くの自治体で防災井戸を設置する動きが広がっています。災害時だけでなく夏場のプールやトイレなどに地下水を活用することで、平常時でも水道料金の節約になるのも大きなポイント。

コンビニ、飲食店などの店舗

西日本豪雨の際に断水になった尾道市では、「販売する商品はあるのに、トイレが使えないため店を開けられず困った」というコンビニが多くありました。飲食店、美容院、エステサロンなど、ほとんどの事業者は断水のために営業がストップ。断水時にも安心して営業ができるよう、井戸を設置する事業者が増えています。災害時でも近隣の方に水を提供したい、トイレを開放したいなど、地域社会に貢献するため井戸を導入する企業や銀行などの事例もあります。